「暗殺者、野風」武内涼著
5歳のとき、無頼の男たちに母と従姉を殺され兄と逃げ延びた野風。暗殺をなりわいとする者たちが住む隠り水の里で最強の刺客に育てられた。ある日、その里に武田信玄に仕える山本勘助がやってきた。越後の長尾景虎の首を取ってほしいと言う。里のおさであるお婆さまは、この話が信玄公ではなく山本勘助から出た話であり、また義を重んじる長尾景虎を狙うことにちゅうちょする。だが、寄り合いの結果、承諾することになり、人々は武田と上杉の戦いに巻き込まれていく。その中で野風は、忘れられぬ男と再会する。かつて無頼の者たちが母と従姉を犯して殺すのをつまらなそうな顔をして見ていた男だ。美しき女刺客が活躍する時代小説。(KADOKAWA 1600円+税)