「芸能人ショートショート・コレクション」田丸雅智著

公開日: 更新日:

 新世代ショートショートの旗手として活躍中の著者による、好きな芸能人をモチーフにしたエッセー風ノンフィクション集。登場するのは、又吉直樹藤田ニコル谷原章介、中嶋朋子など10人。芸能人との出会いがごくふつうのエッセー風に始まるのだが、現実にあったことだと思って読み進めていくうち、いつのまにか奇妙な虚構の世界に足を踏み入れてしまう仕掛けになっている。

 たとえば又吉直樹編では、成仏できずにこの世をさまよっている魂の数々を成仏させるため又吉の長髪に隠された秘密があることが明かされ、藤田ニコル編では野菜にシムカードを差し込んで野菜をスマホ化してしまう「野菜スマホ」なるものが登場する。

 登場人物がおなじみの有名人だけに、描かれている場面での表情や声まで想像できてしまい、虚構の物語がよりリアルに感じられる。物語冒頭の何げない描写が意外なラストシーンにつながる構成などもあり、著者の手腕が存分に楽しめる。

(角川春樹事務所 1200円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕がプロ野球歴代3位「年間147打点」を叩き出した舞台裏…満塁打率6割、走者なしだと.225

  2. 2

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  3. 3

    “玉の輿”大江麻理子アナに嫉妬の嵐「バラエティーに専念を」

  4. 4

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  5. 5

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 8

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 9

    大江麻理子アナはテレ東辞めても経済的にはへっちゃら?「夫婦で資産100億円」の超セレブ生活

  5. 10

    裏金のキーマンに「出てくるな」と旧安倍派幹部が“脅し鬼電”…参考人招致ドタキャンに自民内部からも異論噴出