「古地図から読み解く城下町の不思議と謎」山本博文監修
熊本城は築城の名手、加藤清正が築いた城だ。一般には、機密保持のため街道は城から離れた地に通すが、清正はあえて城内に豊前街道を通した。これは豊前街道が薩摩藩島津家の参勤交代路だったので、島津家が通るたびに熊本藩が監視することによって戦意を喪失させようという意図があったためだ。
また、江戸では武家地と町人地がはっきり分けられているが、犬山城は成瀬正成が城主の時代、城下の中心に町人地が配され、それを武家屋敷と惣構(外郭)が囲んでいる。これは、敵が攻めてきたときに惣構と武家屋敷で食い止める構造だという。
古地図と現代図を比べることで城下町の秘密が解明できる、城好きにお薦めの一冊。(実業之日本社 1500円+税)