「小屋を燃す」南木佳士著

公開日: 更新日:

 東京郊外の高校に通っていたころ、期末テストを終えて帰りの電車で寝過ごし、都心まで来てしまった。駅に貼ってあったポスターに引かれて、デパートで開催されていた印象派展を見た。ルノワールやモネはわからなかったが、シスレーの河畔の風景に目を奪われた。額縁の中に飛び込めば異界に抜けられそうな軽快な青色の空がそこにあった。それ以来、何かあるとあの空を思い出し、他人の言説や自分が見ているものが他の次元に通じているか否かを判断する尺度にしてきた。(「畔を歩く」)

 精神を病んで、自宅安静を命じられた医師が、生死のあわいを見つめる連作短編集。 (文藝春秋 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ダウンタウン浜田雅功の休養でよぎる2023年の「意識障害」報道…「前日のことを全く記憶していない」

  2. 2

    フジテレビ30代アナ永島優美、椿原慶子が辞めて佐々木恭子、西山喜久恵50代アナが居座る深刻

  3. 3

    蒔田彩珠は“この役なら変われる”と奮起して「富永蒼」役をゲット

  4. 4

    男性キャディーが人気女子プロ3人と壮絶不倫!文春砲炸裂で関係者は「さらなる写真流出」に戦々恐々

  5. 5

    コシノジュンコそっくり? NHK朝ドラ「カーネーション」で演じた川崎亜沙美は岸和田で母に

  1. 6

    40歳目前の綾瀬はるかは"長い春"か…冠番組に映画主演と「決断できない」ジェシーとの関係

  2. 7

    岡田准一が真田広之をライバル視…Netflix超大作時代劇「イクサガミ」での“無茶ぶり”には困惑の声も

  3. 8

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  4. 9

    浜田雅功の休養で暗雲漂う…大阪・関西万博とダウンタウン活動再開の行方

  5. 10

    精神科医・和田秀樹氏が語る「老害」を乗り越える方法