「ブックのいた街」関口尚著
西陽は、都心の部屋を引き払い、小平市の「ラブリ商店街」にある実家に戻ることに。何事にもケチをつける父親を幼いころから嫌っていた西陽は、希望した美大への進学も父親に反対され断念。それでも諦めず、社会人になっても、日本画家として独り立ちをすることを夢見て創作に励んでいた。しかし、そんな娘を認めようとしない父親とぶつかり家を出て10年が経っていた。
引っ越し屋によると、ラブリ商店街はシャッター街になってしまったらしい。当時を思い出す西陽は、父親がかわいがっていたブックという名の犬のことを思い出す。ブックはとても賢く、商店街の人々に愛される野良犬だった。
良き「相談役」ブックと商店街の人々が織りなすハートウオーミングな連作集。
(祥伝社 630円+税)