「限界病院」久間十義著
東京の大学病院でエリートコースを歩んでいた外科医の城戸は、環境を一新すべく、友人が内科部長を務める北海道の富産別市立バトラー病院に移籍する。病院は人口3万人の過疎の町の中核病院だ。
数カ月後、城戸は事務長の伊藤から外科部長への昇進を打診される。現在の外科部長が、病院に医師を派遣している北斗医大に戻ることになったらしい。しかし、東京での激務や医療訴訟、離婚などを経て自分を見直すために北海道に来た城戸は、素直に応じることができない。
そんな中、市の予算を圧迫する病院の赤字を問題視した市長が、民間譲渡を視野に改革に着手。対立した北斗医大は派遣医師を引き揚げ始める。
地方の医療崩壊に立ち向かう医師たちの闘いを描く長編小説。
(新潮社 880円)