「看取り医 独庵 漆黒坂」根津潤太郎著
雪の日、小石川養生所の医師・良庵が知恵を借りたいと独庵を訪ねてきた。患者の巳之助の右手右足が食後に動かなくなるという。中風を疑ったが、症状は一刻(2時間)すると消えてしまうらしい。
翌日、往診して巳之助を診察するが、独庵にも診断がつかない。養生所のすさんだ気配に不審を抱いた独庵は、良庵が別の目的で往診の依頼に来たのではないかと疑い、絵師の久米吉を患者に仕立てて内偵に送り込む。報告に来た久米吉によると、養生所内は看病中間(看護師)らが仕切り、すべてに金を要求されるという。再び養生所の巳之助を往診した独庵は、かつて独庵の診療所で働いていた平吉と再会する。
江戸随一の名医にして剣の使い手である独庵を主人公にした時代シリーズ第2弾。
(小学館 704円)