「ごりょうの森」花房観音著
京都の長岡京で小料理屋を営む香夜子は、毎夜、客を自宅に誘う。ベッドで男に貫かれながら香夜子は、自分がどれほど男と交わるのが好きか、隣室にいる夫の覚馬に聞かせるよう声を上げる。
覚馬は、奔放な香夜子と異なり清純だった妹の沙良の婚約者だった。香夜子が誘惑して、駆け落ち同然で結婚したが、沙良はその後、食べ物を受け付けなくなり3年後に病死。沙良の死を機に覚馬は男性機能を失ってしまった。そんな覚馬が許せず、香夜子はさまざまな男と寝るようになったのだ。
ある日、沙良の家庭教師だった正人が香夜子に会いに来た。正人は寝物語に近所にある乙訓寺に幽閉されていた早良親王の話を始める。
平将門や菅原道真、早良親王など「怨霊」をテーマに描いた官能小説集。
(実業之日本社 759円)