「スタグフレーション」加谷珪一著
今回のインフレの直接的な原因は、原油価格高騰やウクライナ侵攻、そして円安などといわれるが、それだけでここまでの大規模なインフレは発生しないと著者は言う。
一連の物価上昇には、さまざまな要因が複雑に絡み合っているゆえに、長期化を覚悟しなければならないという。各国は景気を犠牲にして金利を上げて物価の抑制に動いているが、不景気が続く日本は高金利政策を採用できない。
そんな中、もっとも危惧しなければならないのが、不景気下のインフレ=スタグフレーションだ。スタグフレーションに陥ると、ほとんどの経済政策は効果を発揮しなくなり、そこからの回復が極めて困難になるからだ。そのリスクが高い日本で起こっている物価上昇の背景を解説してくれる経済テキスト。 (祥伝社 968円)