「ウルフ・オブ・ウォールストリート」マーティン・スコセッシ監督
「確かに悪漢で、気分を害すようなことも平気でやるんだけど、悪魔がほほ笑みかけてくるというか、邪悪な行いには魅力があってね。でも『タクシードライバー』のデ・ニーロらもそうだけど、行いは悪くても、状況がそうさせているだけで、人としてはそれほど悪いヤツじゃないんだ。だから、見てもらっても、そう嫌いにはならなかったんじゃないかな。その辺りが人間の人間らしさ、面白さなんだと思う」
――約3時間ある今作もそうですが、大作をコンスタントに発表し続けるパワーの源は何ですか?
「もちろん体力は衰えていて、毎回挑戦の連続なんだけど、ともに映画作りをする役者たちがイカれた情熱家ばかりで、彼らからエナジーをもらっているのかも知れない。先ほども言ったけど、14歳の娘の存在も大きくてね。結婚は初めてじゃなく、他に娘もいるんだけど、共に暮らし、育てていくのは初めてでとても新鮮なんだ」
■次回作は遠藤周作原作「沈黙」
――映画作りの魅力は何ですか?
「よくわからないけど、表現するのが好きなんだ。映画以外で表現する方法を知らないし、他にやりたいことも浮かばない。仕事としてやらなければならないことでもあるけど、何もないところから物語を作り、映像になって人物が動き出すというのは、とてもファニーなんだよ。今も2つプロジェクトがあってね。遠藤周作の『沈黙』はキャスティングの段階で、年内に撮り始めるつもりだ」