「古畑」なければ引退してた…「アリキリ」石井正則の“転機”
すると半年後、「古畑任三郎」のスタッフから事務所に「レギュラーで出ていただきたい」と電話がきた。「古畑任三郎」は田村正和さんと西村雅彦さんの“古畑・今泉”コンビしかレギュラーがいないから、意味がよくわからなかった。台本をもらうと、僕も西園寺という名の刑事。第3シーズンの1話は僕が古畑を迎えに行くシーンから始まる。毎週3人で捜査し、事件現場を古畑に説明したりと重要な役。大抜擢です!
■役者をやる気はなかったのに…
お会いした2度目はプロデューサーを交えての打ち合わせの喫茶店。三谷さんは「『ボキャブラ』の中で石井さんは場に馴染めてない感じがいい。だからドラマの現場でも馴染もうとしなくていいので、とにかく一生懸命やってください。緊張すると思いますけど、緊張してていいです。西園寺は刑事としての古畑に憧れているので」と。
言われた通り無我夢中に一生懸命やりましたよ。僕は芝居の経験がまったくなかったので、田村さんと西村さんの間に入って大失敗に終わる可能性もあった。だから「この役で売れてやる」とはまったく考えず、「三谷さんの顔に泥を塗ってはいけない。西園寺が入ったせいでつまらなくなったと言われないようにしよう」って気持ちだけで頑張った。