放送時間わずか8分…NHK「佐村河内検証番組」の肩透かし

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 16日にNHKが「佐村河内氏問題」に関する調査結果を放送すると聞いて、「随分早い対応だな」と思いつつ、その内容に注目していた。場所は午前11時からの「とっておきサンデー」の枠だという。であれば、54分の検証番組を制作したのだと思っていた。

 ところが実際に見てみると、「ごちそうさん一週間」をはじめ、いつもと変わらないコーナーが延々と続く。結局、番組の終盤で生活・食料部長がスタジオに登場し、司会の女性アナウンサーの質問に答える形で説明しただけだった。時間にして約8分だ。

■企画からオンエアまでの経緯を説明

 その説明は企画の提案から放送までの流れや、佐村河内氏の「作曲」「聴力」に対するスタッフの認識についてだった。たとえば佐村河内氏は譜面を書くシーンを撮らせなかった。しかし事前に楽曲の「構成表」を見ていたことで一応納得した。聴力についても診断書や障害者手帳は確認したが、それ以上は人道上の問題もあった等々。

 要するに「自分たちも見事にだまされました」という話だ。いや、一番言いたかったのは「不徳の致すところではあったが、ウソと気づきながら番組を作ったわけではない」ということだろう。

 とにかく、わずか8分間の調査報告とは完全に肩透かしを食らった。後はホームページに掲載した10ページの報告書で幕引きとしたいようだ。
(上智大教授・碓井広義=メディア論)

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