俳優・小野寺昭さん 25歳デビューの役は「丸刈り高校生」
「太陽にほえろ!」の“殿下”役で愛され、その後も「毎度おさわがせします」や2時間ドラマで活躍してきた小野寺昭さん。現在は大阪芸術大学短期大学部で芝居を教える教授としても活躍中だ。
ボクの正式なデビューは「太陽にほえろ!」が始まる3年前の69年。ポーラテレビ小説「パンとあこがれ」というTBSの“昼ドラ”でした。その時、25歳。なのに、丸刈りの高校生の役でね。童顔だったんでしょうねえ。
「パンとあこがれ」はスタジオドラマ。当時は、スタジオに4、5台のカメラを設置して、役者が通して演じるのを複数のカメラで同時に、カット割りしながら撮る、マルチ撮影という撮影方式でした。カメラさんやマイクさんはこのシーンはどのカメラで撮るのか、アップか、全体か、とかが書かれた“カット割り台本”を渡される。でも、役者には渡されない。だから、役者は演じていながら、いつどこを撮られているのかわからず、撮られていないのに一生懸命演じたり、逆に撮られているのに、セリフがないから気を抜いていてNG、なんてことが起こるわけです。
そこでボクは、リハーサルの後の休憩時間に、スタッフさんのカット割り台本をそっと見て「そうか、ここは映ってないんだ」「ここはセリフはないのに、オレをアップであっちから撮るんだ」と頭に入れ、本番にのぞみました。撮り終わった後、メークさんに「あなた、すごいわね。カット割りにキッチリ合わせて芝居してたじゃない!」って言われました。