俳優・小野寺昭さん 25歳デビューの役は「丸刈り高校生」
当時はNGを出すと、ビデオテープを切ってつなぐのに1カ所3万円かかる、なんて言われていた。だから、つなぐより安上がりだ、っていうんで、NGが出るとアタマからもう一度撮り直したりしてね(笑い)。すごい時間とお金がかかった。だから、NGを出さないことは大事。ボクはカット割りが分かっていたおかげで、NGが少なく、テレビの世界で順調にやってこられたのかなって思うんですよ。
■人形劇の経験が役に立った
じゃあなぜ、ボクがデビュー作からカット割りをわかっていたかというと、実はそれ以前に、「劇団やまいも」っていう児童劇団に所属していたんです。その時、NHKの人形劇「チロリン村とくるみの木」で人形を操った経験が大きかった。
人形劇って、芝居のセリフを入れたテープをもらい、カット割りを頭に入れ、スタジオでテープの声に合わせて、足元のモニターを見ながら人形を操作するんです。だから、人形劇とドラマは違うとはいえ、スタジオではどんなふうに撮るのか、ということがよくわかっていたんです。当時は人形を操りながら、「役者になりたくて東京へ出てきたのに、顔を出すと怒られるなんて」って悔しかった。でも、それが後ですごく役に立ったわけです。