「後悔反省は数え切れない」 いまだ現役、大川榮策の酒人生
若さを過信して飛ばし過ぎ、30の時に肝臓をやられ黄疸が出て、1カ月入院したこともありました。でも、「このままじゃ死ぬよ」という医者の警告より、退院してすぐに飲んだ一杯のビールのウマさが上回ってました。
酔えば失敗もあり、後悔や反省は数えきれません。それでも毎日毎晩、66歳の今も飲んでいるのはグラスの向こうに、情念とか、言葉にできない思いとか、人の心の襞を思い、感じられるからかもしれません。どこかの街のキャバレーのホステスさん、体を張った興行師、「さざんかの宿」を聴いて涙を流してくれたあの人たちにまた会えるような気がするのです。
今は世の中が狭くなり、何かと規制ばかりですけれど、そういう計算ずくじゃないところ、日陰のようなところに人の本当の心は息づき、そういうところを表現するのが演歌じゃないかと思う。人の耳に、ではなく、胸に、腹に届くように歌えとは尊敬する村田英雄さんの言葉で、デビュー46年目の今もそれらを目指して修業中です。
95枚目のシングル「あばれ舟唄」は男歌。浅草での営業で歌ったら、ご婦人から背中をポーンと叩かれました。少しは伝わったのかな。今宵の酒が楽しみになってきます。