「後悔反省は数え切れない」 いまだ現役、大川榮策の酒人生
「起きたの?」
思わずうなずくと、ニッコリ笑い、「起きたみたいよー」って誰かに報告している。これはマズイことになったと思っていたら、マネジャーが顔を出して言うんです。
「早く顔洗ってこいよ。飯、できてるぞ」
僕がけげんな顔をしているから、わかってないと思ったのでしょう、顎で女性を指して「俺のカミさん」と続けました。彼の新婚家庭にお邪魔していたんです。
■古賀政男先生の「飲まれちゃいかん」の教えに背き…
佐賀商業高校卒業とともに上京し、同じ福岡県大川市出身の師匠、古賀政男先生(作曲家)に弟子入りして数年という頃、「大いに飲んで構わんが、飲まれちゃいかん。人に迷惑をかけるな」との教えに背き、またしても、やらかしてしまった。反省し、自分で自分の頭をポカリとやったのを覚えています。
そして立ち上がり、またその日のステージへ向かう。休みナシ。デパートの屋上だろうとレコード店の軒先だろうと、マイクを握れるのがうれしくて、精いっぱい歌う毎日です。そうやってヘトヘトになっても、気持ちは高ぶったままということもあって、酒を欠かしたことがありません。