美空ひばりと、越路吹雪と…美川憲一が語る「お酒交遊録」
お酒? もともと弱かったのよ、意外でしょ。1杯飲んだだけで顔が真っ赤になっちゃうのね。でも、飲めないってわけじゃなくて。若い時、東宝芸能学校に入った63年とか、大映ニューフェースの64年、65年のデビューの頃ってホントによく飲み歩いて遊んだわ。酔っぱらって知らない人の家に泊まってたりってこともあったしね。
“私の庭”は新宿だったのよ。ゴールデン街、2丁目、3丁目。3丁目には「ろくでなし」という自分の店もあって。そこは7年後に立ち退きになったから、一緒にやっていた人に自腹で別に店を出してあげて、あげちゃったわ。
当時のゴールデン街は赤線廃止から間もない頃。怪しい雰囲気が色濃く残っていたわ。2丁目にはヌードスタジオというのがあったの。ドアを開けると赤い明かりとカメラがあって、お姉さんがギリギリまで写真を撮らせて、最後にそこでやらせるっていう。ああいうミステリアスな雰囲気が大好きなのよね、私。
美少年で可愛かったから男にも女にも飲みに誘われたわ。ただね、身持ちは堅い方なのよ、酔う前に逃げたりして。ただ飲みドロボーみたいな。