会社員から落語家へ 立川談慶さん語る「二つ目」までの9年半
ワコールを退職して立川談志率いる立川流に入門。二つ目昇進まで9年半、真打ちまで5年かかった立川談慶さんの前座暮らしの悲哀……。
師匠談志の弟子になったのは1991年4月19日でした。
当時の立川流は厳然とした昇進基準、徒弟制度というのがありまして。まず、見習いからスタートするのですが、「コイツ、使えるな」と思っていただけたら「前座」に。そして「二つ目」になるには、「古典落語50席に三味線、太鼓、かっぽれ、都々逸、長唄などの歌舞音曲」。さらに「真打ち」昇進は「古典落語100席に、二つ目以上に精度の高い歌舞音曲」をマスターし、師匠のお墨付きをいただかなくてはなりません。
しかも、立川流ならではの上納金制度がありまして、落語家を目指すには、入会金10万円に「見習い・前座・二つ目」は月2万円、「真打ち」は月4万円を師匠に届けなければならない。ノホホンとはしていられないのです。
それらは先刻、承知でした。ワコール勤務時代、すでに20席ほど覚えていましたから、「2年もやれば50席はいけるだろう」と。まあ、こう思いましてね。貯金も300万円ほどあり、余裕のよっちゃんのつもりでした。