会社員から落語家へ 立川談慶さん語る「二つ目」までの9年半
でも、「師匠談志の弟子」「立川流」の看板には結構助けられました。師匠の自宅近所の農家で野菜の収穫が始まると、おすそ分けをいただき、銭湯で知り合ったウナギ屋のご主人には、ウナギやお酒をよくごちそうしてもらいました。
アパートを斡旋してくれた不動産屋に草刈りのバイトを依頼されて、破格の2万円を頂戴した時は、盆と正月が3回いっぺんに来たくらい、うれしかったなあ。
「二つ目」昇進前は、週に4日ほど朝7時から正午までの5時間、セブン─イレブンさんでも働いてたんですよ。生活もさることながら、大きな壁となっていた歌舞音曲を完璧にマスターするため、日替わりでお稽古に通っており、それなりに費用がかかったんです。
そこでは廃棄弁当も大きな魅力でした。内規では食べるのが禁止されてたのかもしれませんが、私にしてみたら死活問題。なりふりなんか構っていられません。
もうひとつ忘れてはならないことがあります。実は「二つ目」になる前、前座の身分で本来は禁じられていたのですが、結婚しました。