“怪優”本田博太郎が語る「酒癖悪い人は人間性に問題あり」
シリアスからコミカルな役まで変幻自在の“怪演”で知られる、名バイプレーヤーの本田博太郎さん(64)。還暦をすぎてはいるが、「おいしい酒を飲むにはまだまだ精進しないと」が口癖だ。
■粋に飲む大滝秀治さんに憧れた
「酒」というと下積み時代を思い出しますね。当時、よく口ずさんだのは河島英五さんのヒット曲「酒と泪と男と女」。歌詞が僕の心情そのものだったから。
僕の名前が世間に知られるようになったのは蜷川幸雄さん演出の舞台「近松心中物語」(帝国劇場、1979年)。主演だった平幹二朗さんが急病で途中降板し、その代役に指名されたのです。当時は28歳。まだまだアルバイトしないと食べていけなくてね。それなのに結婚が早く、「近松」出演時は2児の父親でしたから、その頃は本当に切羽詰まっていました。
もちろん、自分なりに頑張っているつもりでした。でも、思うように仕事は増えず、将来の展望も見えない。時にはヤケ酒をあおり、酒の勢いで暴言を吐いたこともありました。苦い酒が続いていたんです。