1週間で興収8億円超「007 スペクター」の圧倒的勝因
スパイアクションの金字塔「007」が好調な滑り出しだ。
4日に公開初日を迎えたシリーズ24作目の最新作「007 スペクター」(サム・メンデス監督)。累計興行収入はすでに8億5000万円(11月末の先行上映3日間を含む)を突破しており、「前作『スカイフォール』の最終興収27・5億円を超え、30億円超えも確実な好調な出だしといえるでしょう」(映画ジャーナリストの大高宏雄氏)。
実際、TOHOシネマズ日本橋の劇場(290席)は日曜夜8時過ぎの上映回にしてほぼ満席状態。若年から中高年のカップルをはじめ、男女の一人客も多数見られ、あらゆる客層が足を運んでいた。
事前の宣伝活動に余念がなかったとはいえ、これだけ支持される理由は何か。映画批評家の前田有一氏は、「バランス感覚の良いつくり」とこう続ける。
「まず冷戦時代に製作された『007』の荒唐無稽なつくりから、6代目ボンド演じるダニエル・クレイグ以降はシリアスかつリアリズムの方向へとシフトしていました。ところが、今作は『スペクター』というボンドの宿敵組織の名前を冠したタイトルに始まり、オープニングの銃撃に至るまでのシークエンス、サイボーグ、雪山のシーンなどボンド映画の初期シリーズの要素を実に多く取り入れ、往年の007ファンを魅了する内容になっています」