稽古を通じて“同志”になった 俳優・内野聖陽への信頼
5月7日から俳優座劇場で上演される新シリーズ「ふたりものがたり」で舞台の初演出をします。
2013年、戸田恵梨香さん主演の連続ドラマ「書店員ミチルの身の上話」(NHK)全10話を脚本、演出、プロデューサーとして完成させ、テレビマンとしてゴールを迎えたな、と思っていました。さて次に何をしようか、と思案していた頃、新潟りゅーとぴあ演劇部門の芸術監督・笹部博司さんから「舞台をやらない?」と誘われたことがきっかけです。
長く映像の仕事をしてきて、いまの撮影現場では、限られた時間の中で天候の問題とかカメラの都合によって、いちばん大事にすべき「芝居」にかける時間がなくなることが時々あって、これは絶対おかしいと思っていたので、「男女ふたりのリーディングで舞台をやりたい!」と即座に提案しました。
■シンプルだからこそ生まれる強さ
俳優のすぐれた演技と物語の強さのみで勝負したくなったんです。それこそが、作品づくりの原点ではないか、と。巨大なセットも仕掛けもなく、大ロケーションもやらない。いろんなものを手放すことで、ほんとうの豊かさや大事なものが見えてくるのではって。いわば、「断捨離」ですね。