アルタ前で男女40人酒盛り 平山秀幸監督が語る映画と酒
現場が過酷だったことや、二度と同じような撮影ができない場所でのロケでしたから、思い入れはことのほか大きくてね。原作者の夢枕獏さんも完成したばかりの“初号”の試写会に来てくださって、その日は獏さんととことん飲みました。小田原住まいの獏さんは結局、タクシーで帰ったくらいでしたから、とってもいい酒になってたんじゃないでしょうか。
ただ、最近の映画界で監督以下、スタッフが膝を突き合わせて飲むのは少なくなりました。僕が助監督だった時代、地方ロケといえば、旅館の大広間でみんなで食事をして酒を酌み交わし、雑魚寝が当たり前。でも、最近はビジネスホテル利用が増えて、そんな機会がないからね。
宴席で先輩から聞いたことは、単なる撮影テクニックや心構えだけでなく、映画の歴史でもあり、人と人との機微や人生論でもありました。得られたこと、気付かされたことがすごく多かった。それだけに、飲む機会が減り、飲まないスタッフが増えてきてるのは、時流なのかもしれないけどとても残念ですね。