独立後初の独白 小泉今日子「私が舞台にのめりこむまで」

公開日: 更新日:

 でも、当時は芝居に出るなんて考えもしませんでした。もちろん、テレビドラマには出ていましたが、演出家の言う通りに動いていただけ。そんな時に撮影現場では与えられた役から突き抜けて、自分たちで独自の面白い役作りをしている役者さんたちがいまして、彼らの共通項が小劇場出身。でも、私には無理、声も小さいし……と尻込みしていました。

 それから約10年後の1997年のことです。今冒険しないと、前に進めないと思い、もし舞台のオファーが来たら絶対に断らないで挑戦しようと思っていたところに岸谷五朗さんと寺脇康文さんがプロデュースする「地球ゴージャス」の舞台のお話が来たんです。純然たるエンターテインメントで、出演者も数十人の大所帯。稽古も、まず柔軟体操から教わって、まるで毎日が学校の部活みたいでとても楽しいデビューでした。 

 舞台にのめりこんだのは、98年、岸田賞作家で俳優でもある岩松了さんの「水の戯れ」という作品との出合いでした。互いに心に秘めた思いを抱く男と弟の妻、そして男の兄の三角関係を描いた恋愛ドラマ。人間って話している言葉と本心が違うことがあるじゃないですか。嘘と真実が共存しているというか、セリフの裏にある矛盾した心理を同時に観客に見せるということは演劇しかできない表現なんだと知りました。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  4. 4

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  5. 5

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  3. 8

    フジ反町理氏ハラスメントが永田町に飛び火!取締役退任も政治家の事務所回るツラの皮と魂胆

  4. 9

    兵庫県・斎藤元彦知事を追い詰めるTBS「報道特集」本気ジャーナリズムの真骨頂

  5. 10

    今田美桜「あんぱん」に潜む危険な兆候…「花咲舞が黙ってない」の苦い教訓は生かされるか?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  2. 2

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  3. 3

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  4. 4

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  5. 5

    やなせたかしさん遺産を巡るナゾと驚きの金銭感覚…今田美桜主演のNHK朝ドラ「あんぱん」で注目

  1. 6

    下半身醜聞ラッシュの最中に山下美夢有が「不可解な国内大会欠場」 …周囲ザワつく噂の真偽

  2. 7

    大阪万博を追いかけるジャーナリストが一刀両断「アホな連中が仕切るからおかしなことになっている」

  3. 8

    今田美桜「あんぱん」に潜む危険な兆候…「花咲舞が黙ってない」の苦い教訓は生かされるか?

  4. 9

    “下半身醜聞”川﨑春花の「復帰戦」にスポンサーはノーサンキュー? 開幕からナゾの4大会連続欠場

  5. 10

    フジテレビ第三者委の調査報告会見で流れガラリ! 中居正広氏は今や「変態でヤバい奴」呼ばわり