安室奈美恵の中国公演 なぜ上海でなく深センだったのか?
またインフラも深センは整っている。80年に経済特区に指定されて以来、急激に進化した深センは「中国のシリコンバレー」とも呼ばれ、街はタワーマンション建設ラッシュで大型ショッピングモールが林立、大きな施設ではフリーWi―Fi常備、中国の電波統制でLINEやグーグルは不安定だがインフラは完璧、エリアによるムラもない。
そして一番驚いたのは、スマホ決済が一般化していることだ。街のたばこ屋でもスマホ決済、タクシーもモバイル通貨・ウィーチャットペイで支払いが可能。マクドナルドはオーダーから決済までタッチパネルで済ませて受け取りカウンターに行くだけ。深センの電気街・華強北は秋葉原の比ではない規模で大きなショッピングモールが何棟も立ち並び、活気にあふれている。PCも家電も深セン近隣から産地直送(?)のためか日本の6割ぐらいの値段。アップル製品を即修理する店まであり、技術力の高さも見せつけられる。
安室のライブでは大道具は一切使わず、ステージ上方、両サイド、ステージ下と巨大なLEDスクリーンを駆使しているが、これだけインフラの整った深センなら、日本と同じセットを難なく再現できる。実際、安室のライブ中にスクリーンも音源も、一度も不具合はなかった。このスピード感なら五輪準備に慌てる東京を追い抜く可能性すらありそうだ。安室のライブを通して日本ではまだまだ知られていないビッグなエンタメ市場を体感した。