カッコ悪いのにカッコいい「落語」と「芝居」の二刀流
私は以前、喬太郎の白髪についてこんな文章を書いたことがある。
「白と黒、半々ずつの髪は喬太郎の象徴だ。古典と新作、若さと老成、落語の間と芝居の間、それらを共有することによって芸域が広がる」
それに落語と芝居の二刀流が加わり、昨年は「スプリング、ハズ、カム」という映画に主演した。
「芸人とは全く関係ない普通のおじさんの役でした。映画でくさい芝居をしたら浮いちゃうかなと思って抑えて演技したら、監督さんに言われたんです。『120%の芝居をしてください。スクリーンを通すとちょうどよくなります』と。なるほどな、と納得しました」
NHKのドラマ「坂の上の雲」にも出演した。
「警察署長の役でちょっとだけの出番でした。明治時代の署長らしい芝居をしようとリハーサルに臨んだら、ディレクターが僕の新作落語のファンだったみたいで、『すみれ荘二○一号』に出てくる市会議員の感じでやって下さいと言われて、その通りに演じたら一発オーケーです。落語の登場人物のキャラクターがドラマでも通じたのが驚きでしたね」