榎木孝明さん小5で酒デビュー “大人のジュース”をひと口…
■祖父は大酒のみ、父は下戸
実家では、祖父は大酒飲み。ところが、小学校、中学校の先生だった父は、とんと飲めません。忘年会や歓送迎会なんかで、年に数回酔って帰宅するぐらいです。普段、母の名前を言わないのに、そんな時だけ「クニ」「クニ」と大声で連呼しながら木戸から玄関まで歩いてくる。子供心にも恥ずかしかったのを覚えていますが、大正生まれで寡黙な薩摩人の父ならではの愛情表現だったのかもしれません。
そんな家庭でしたから、酒を覚えたのは1974年4月に武蔵野美大進学のため上京してから。深夜喫茶やラウンジでアルバイトをしていたこともあって、その頃はウイスキーをよく飲みました。大好きな芋焼酎が簡単に手に入る時代ではなかったというのも、その理由でした。都内でもめったになくて故郷の味を懐かしみ、神田に「白波」を置いてある居酒屋があると耳にして、わざわざ飲みにいったものです。
その「白波」。かつては慣れないと閉口するぐらい芋臭かった。今では芋焼酎全般が臭みを抑えて飲みやすくなってますが、もともとは凄く臭い。時代の流れとはいえ、鹿児島生まれだから物足りなく感じるほどです。