文化庁・日本劇団協議会主催「花の秘密」軽妙に描く男と女
「ありえないだろう」とツッコミを入れたくなる展開だが、それが説得力を持ち、芝居としてきっちり成立しているのだからチャン・ジンの才気に感嘆する。横内のコメディーセンスが輪をかけて秀逸。劇場が揺れるような笑いの渦。
女優たちが実にチャーミングだ。小劇場は初めてという中島が確かな演技力で舞台を引っ張り、元タカラジェンヌの男役・沙央がコケティッシュなイケメンぶりを振りまき、事故のカギを握る原田の憂いを帯びた表情もいい。みょんふぁのタフな男前演技が舞台を締める。医者役の岩崎う大のとぼけた演技、お色気看護師役の澤田美紀もそれぞれ役にぴったり。シリアスとコメディーの配分が絶妙。ブラックで不条理な幕切れも後味が悪くはならない。軽いタッチのコメディーではあるが、男と女、人生の何たるかに思いをめぐらす重さと奥行きのある舞台だった。
2時間10分。赤坂レッドシアター。
(2月3日で終演)
★★★★