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二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

渡辺プロ<1>芸能ビジネスの原型つくった渡辺晋の創業理念

公開日: 更新日:

 ナベプロが制作を担った番組は音楽バラエティー「シャボン玉ホリデー」(日本テレビ系)など次々と人気となり、「ナベプロなくして番組は作れない」といわれるほどだった。番組人気でナベプロの名も全国に浸透。それまでの「芸能界は怖い」という風評もなくなり、スカウトも活発化。中尾ミエ、伊東ゆかり、沢田研二、森進一、ザ・ドリフターズら後の看板スターが続々と誕生した。芸能メディアもナベプロに殺到。有楽町の雑居ビルの一室にあった事務所は雑然と机が並び、たばこの煙は充満。周囲の人の動きはあわただしく、頭越しに大声が飛び交う。古き良き昭和時代の活気だった。

 ナベプロ出身で後に巨乳アイドル事務所を創設した「イエローキャブ」の野田義治社長(当時)からこんな話を聞いたことがある。

「当時、マネジャーは声が大きいほうが勝ちみたいな雰囲気でした。たとえ間違ったことを言っても、声の大きい人の意見が通ってしまう。自然にこの世界は声の大きい人が多くなった(笑い)」

 表舞台とは対照的なスタッフたちの舞台裏。「マネジャーは黒子に徹する者」という社長の教育でもあった。スタッフの扱いは荒さもあったが、対照的にタレントに対しては手厚いものがあった。地方出身の女性歌手らは晋氏の自宅で一人前になるまで居候。安心して芸能活動できる環境を整えた。それだけではない。

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