平成最後のカリスマ米津玄師“重めの前髪”に隠された非凡さ
まさにニュータイプのアーティストなのだが、音楽評論家の富澤一誠氏はこう語る。
「むしろ70年代に、フォークソングの吉田拓郎さんや井上陽水さんが出てきたときのような“シンガー・ソングライターの本流”であると思います。80年代、90年代のロック・ポップスのサウンド志向・リズム志向とは反対に、歌詞がよく聞こえてくる。今の時代、そのことが逆に新鮮なんだと思います」
さらにプロモーションの手段にも共通点があるという。
「拓郎さんもそうですが、昔のフォークシンガーはテレビ出演を拒否して、ライブ、ラジオ、活字でファンを広げていきました。彼はさらに、既存のメディアではなく、ユーチューブやニコニコ動画などを活用しています。詞と曲を書き、自分で歌い、配信もやり、さらにビジュアル的なプロデュースまですべて自分でやってしまうのです。クリエーターとして多才な能力を持ち合わせていると言えるでしょう」(富澤氏)
“重めの前髪”の奥には、非凡な才能が隠されているというわけだ。