時事ネタは予測するけれどあえて練習はせず口座に上がる
顔や姿に特徴がないと、小物でその人とわかるようにしたり、頓知が効いたギャグで笑わせる。これも芸というものだ。
時事ネタの注文が多いと思うが、どのように備えているのだろうか。
「新聞と週刊誌に載る写真を見て頭に焼き付けてます。『これが出そうだな』と予測はするけど、あえて練習はしません。高座に上がり、お客さまから注文があって初めて切ってみる。即興でうまく切れることもあります。うまく切れないと工夫して、次に注文された時にちゃんとした物を切れるようにする。その繰り返しですね」
出来上がった作品は注文したお客さまがもらえる。寄席にはいろいろな芸人が出るが、お土産をくれるのは紙切りだけである。
「たまに、『俺ってこんなにうまいのか』って思うほど出来がいいことがあるんです。そういう時はお客にあげたくない。自分で取っておきたい。反対に出来が悪いのもあげたくない。捨てちゃいたい。普通の出来の物だとあげても平気なんですがね」
(つづく)