「フラガール」炭鉱町で女たちはフラダンスに人生を賭けた
東北にハワイを持ってくる奇抜な事業を会社は社員のために成功させなければならない。一方、女の子たちは明るい未来を求めた。みんな貧しい。だからフラダンスに懸けた。いや、懸けるしかなかった。失敗したら鉛色の町に沈んでしまうのだ。そしてまた、借金を抱えて東京から逃れてきたまどかもここで復活を遂げようとした。
かくしてセンターはオープンを迎え、紀美子たちの晴れ舞台に大人は拍手する。そのさなか、カメラは男たちが山に入る姿を捉える。炭鉱から観光に時代は変わった。だが炭鉱作業員は今日も命懸けだ。李監督は山の男の誇りに敬意を払いながらエンディングを盛り上げた。見事な編集だ。男たちの炭だらけの顔をジェイク・シマブクロのウクレレが洗い流してくれるようだ。
(森田健司/日刊ゲンダイ)