歴史は戦争が作ってきた。でも、戦争は悲惨しか残らない
でも、この日の深夜零時を過ぎてすぐ、実は中立条約を無視したソ連軍が満州の国境線を突破して侵攻していた。分け前が欲しいために参戦したというからどこまで恐ろしい国なんだ。そして無条件でいいのかどうか、陸軍が反発して結論を出せず、14日になって、天皇に“聖断”を仰いだ。その間にどれだけの若い兵士たちが出撃させられたことか哀れでならない。
その後のソ連軍の侵攻には今でも戦慄(せんりつ)を覚える。ポツダム宣言の受諾で戦争は終わったように見えたが(若い時、そう習った)、ソ連軍は攻めるのをやめず、16日には樺太や千島列島の島に上陸して、日本軍守備隊と戦闘している。そして“北海道の北部を占領しろ”と、ソ連軍は命じられたというからゾッとする。真夏の夜のホラー映画どころじゃない。千島列島だけでなく、留萌と釧路を結ぶ線の以北全域と命じられたとか。北海道はソ連に本州と切り離され、共産主義化され、ひょっとしたら北朝鮮と韓国みたいに分断されていたかもしれなかった。結局、それは原爆を持つアメリカに阻止されたのだが。「歴史」とは国家の歴史で、歴史は戦争がつくってきた。でも、戦争は悲惨しか残らない。