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井上トシユキITジャーナリスト

1964年、京都市生まれ。同志社大学文学部卒業後、会社員を経て、98年からジャーナリスト、ライター。IT、ネット、投資、科学技術、芸能など幅広い分野で各種メディアへの寄稿、出演多数。

セレブか上級国民か…同じ特別扱いでも炎上ダメージは違う

公開日: 更新日:

 今年のニュースに絡んで印象に残ったワードのひとつが「上級国民」だ。4月に池袋で起きた交通事故で、若い母子が無残にもひき殺されているにもかかわらず、高齢者とはいえドライバーが逮捕もされず、容疑者とも呼ばれないのは、元高級官僚という特別な忖度を警察やマスコミから受けられる「上級国民」だからなのだ、という説がネットで一気に広まって定着した。

 さらに、同時期に起きた神戸のバス事故で、運転手が即座に逮捕されたこととの対比がリアリティーを高めてしまい、「特別扱いされる上級国民」の存在が広く受け入れられることとなってしまったわけだ。

 ネットで言われる「上級国民」というワードは、明らかに批判や侮蔑、成り上がりへの嫌みといった感情を含んでいる。ところが、同じように特別扱いされる存在について「セレブ」と言い換えると、途端に憧れや羨望といったポジティブなニュアンスを帯びてくる。

 つまり、芸能人や著名人の炎上では、炎上する際にも事後にも、世情に通じていない上級国民の身勝手と悪しざまに捉えられるか、浮世離れしたセレブの奇行、乱行と引いた目線で見られるのか、どちらかによってダメージの深さも対応の仕方も変わるわけだ。

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