8年前に亡くした妻 遺影に話しかける自分に気づき苦笑い
「これは『あなたが来る時に、その片方を持ってらっしゃい』と女房が言ってるのかなと。だから、いまだに納骨できずにいるお骨と遺影と一緒に部屋に飾っています。納骨できないのは、僕と一緒にお墓に入りたいとよく言っていたから。うちのお墓、古い山寺なんですよ。そこにひとりでいるのは寂しいからって」
最近、よく遺影に向かって話しかけている自分に気づき、苦笑いすることが増えた。
「『いやまいった、あのチーママがさ』なんてね。僕は女房の生前からいろいろ報告するのが好きで、『そんなの聞きたくないわよ』『これがね、妙に色っぽいんだよ』『早く寝なさい』とかやってましたからね。この前のバレンタインデーにも『今年はチョコレート少ないんだよなあ。昔は山のようにもらえたのに』と話しかけていて、ふと我に返って笑っちゃったもん。おいおいおい、ぶつぶつ独り言を言うようになるなんて、どうなっちゃうのかね。『家庭の医学』でも出してきて調べてみるかと。でもね、こういう自分の変化を、ちょっと面白がってもいるんですよ」
(ジャーナリスト・松田亜希子)