同志社女子大・影山貴彦氏 エンタメは不要不急でも不可欠

公開日: 更新日:

 舞台やコンサートなど公演は軒並み中止。テレビは過去の放送を再編集して流し、リモート出演が当たり前になった。今後の撮影のめどすら立たず、制作手法も変えざるを得なくなっている。新型コロナウイルス禍で存在意義すら問われるエンタメ界の未来とは――。現場経験豊富なメディア論学者に聞いた。

■ニセモノと本物がハッキリした

 ――新型コロナ禍によって、テレビを中心にエンタメは大きく変化しました。

 ニセモノと本物がハッキリしたといえるのでは。視聴者もうすうす気づいていたけれど、まず出演者が多すぎた。バラエティー番組のひな壇芸人のことです。大物芸人に必死でゴマをする中堅芸人が並ぶ状態がもう何年も続いていましたが、ソーシャルディスタンスで出演者が大幅に削られ、いなくても問題なかった。情報ワイド番組は何の専門知識もないタレントや芸人が画面を埋めていたけれど、結局、専門家がいなければ井戸端会議にすぎない。たまにMCが怒って視聴率を取るだけで、キャスターとアンカーと専門家がいればいいことが明確になりました。そういう制作の惰性に引導を渡す好機だったのかもしれません。

 ――YouTubeの視聴数は一気に増えました。

 YouTuberも実力の差がハッキリしましたし、新たなタレントが見いだされています。この前、フワちゃんがNHKの「あたらしいテレビ」のリモート座談会に出演し、誰よりも的を射た意見で、識者が難しい言葉をこねくり回すよりも端的に、破壊力のある言葉でコメントしていて「これがYouTube世代の新しいタレントか」と衝撃を受けました。最初は僕も時流に乗っただけの芸人さんなのかと思いましたが、ツイッターを見るとやはりフワちゃんを評価するコメントが多く、皆同様に感じ取っていた。また「Zoom芸人」なる芸風も生まれ、新たな才能が誕生している。芸能界の世代交代が大きく進むのではないかと思います。

 ――リモート出演は今後増えると予測していたそうですが。

 3月の段階で僕は、今後リモート出演が増えるだろうと明言していました。ただ、Zoom画面のまま出演者を均等割りで見るのはサラリーマンのZoom会議疲れと同じく苦痛になってきた。対談も限界かと思っていたら、この前「ボクらの時代」(フジテレビ系)がリモート対談の新たな見せ方をしていました。メインで話している人、それを聞き入る人の表情、ネット特有のタイムラグもちょっとずつカットし、違和感なくいつもの対談を見ているように編集されていた。リモートも次の段階に来たのだなと感じさせました。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  2. 2

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  3. 3

    三浦大知に続き「いきものがかり」もチケット売れないと"告白"…有名アーティストでも厳しい現状

  4. 4

    広末涼子容疑者「きもちくしてくれて」不倫騒動から2年弱の逮捕劇…前夫が懸念していた“心が壊れるとき”

  5. 5

    元フジ中野美奈子アナがテレビ出演で話題…"中居熱愛"イメージ払拭と政界進出の可能性

  1. 6

    広末涼子が危険運転や看護師暴行に及んだ背景か…交通費5万円ケチった経済状況、鳥羽周作氏と破局説も

  2. 7

    芸能界を去った中居正広氏と同じく白髪姿の小沢一敬…女性タレントが明かした近況

  3. 8

    佐藤健は9年越しの“不倫示談”バラされトバッチリ…広末涼子所属事務所の完全否定から一転

  4. 9

    中居正広氏、石橋貴明に続く“セクハラ常習者”は戦々恐々 フジテレビ問題が日本版#MeToo運動へ

  5. 10

    中居正広氏《ジャニーと似てる》白髪姿で再注目!50代が20代に性加害で結婚匂わせのおぞましさ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    参院選で自民が目論む「石原伸晃外し」…東京選挙区の“目玉候補”に菊川怜、NPO女性代表の名前

  4. 4

    NiziU再始動の最大戦略は「ビジュ変」…大幅バージョンアップの“逆輸入”和製K-POPで韓国ブレークなるか?

  5. 5

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  1. 6

    サザン桑田佳祐の食道がん闘病秘話と今も語り継がれる「いとしのユウコ」伝説

  2. 7

    我が専大松戸の新1年生は「面白い素材」がゴロゴロ、チームの停滞ムードに光明が差した

  3. 8

    逆風フジテレビゆえ小泉今日子「続・続・最後から二番目の恋」に集まる期待…厳しい船出か、3度目のブームか

  4. 9

    新沼謙治さんが語り尽くした「鳩」へのこだわり「夢は広々とした土地で飼って暮らすこと」

  5. 10

    石橋貴明のセクハラ疑惑は「夕やけニャンニャン」時代からの筋金入り!中居正広氏との「フジ類似事案」