「特捜9」vs「捜査一課長」コロナ時代の演出を徹底比較
■机を2つ並べたソーシャルディスタンス
一方、「捜査一課長」は完全に逆張りだ。“ウィズコロナ”の生活習慣を丁寧に描こうとする姿勢がうかがえる。捜査一課長・大岩純一(内藤)は帰宅すると必ず丁寧に手洗いし、一課長室で会議する際はドアを開けたまま換気。捜査員はマスク着用のまま尾行・張り込みをするといった具合だ。
「目を引いたのは取調室で机を2つ並べて取調官と被疑者の距離を取ろうとする演出です。現在、本当の警察の取調室の現場では被疑者もマスク着用となっていますが、『捜査一課長』ではマスクもアクリル板も使わなかったそうです。編集作業などで被疑者の表情を殺さないため、あえて実際にはあり得ない設定をつくり出したのでしょう。なるべく道具や技術に頼らない演出方法だといえます」(テレビ関係者)
笹川刑事部長(本田博太郎)が“アベノマスク”を着用するシーンも描かれていたが、今後もアベノマスクが登場する可能性があるという。
「このコロナ時代にマスクが完全に除外されたドラマはかえって不自然です。いずれ刑事ドラマではマスクが犯人特定につながる重要なアイテムとして使われるかもしれません」(芸能ジャーナリストの芋澤貞雄氏)
現在のスマホみたいなものか。7月1日の「特捜9」は万引Gメンの死亡事件、2クール目に入る2日の「捜査一課長」は密室劇が描かれる。犯人だけでなく、演出も意識するとドラマを2倍楽しめる。