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神田松鯉講談師

昭和17年生まれ。群馬県出身。新劇・松竹歌舞伎などの俳優を経て、昭和45年2代目神田山陽に入門。昭和52年真打ち昇進。平成4年3代目神田松鯉を襲名。令和元年重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。

講談専門だった本牧亭が果たした役割

公開日: 更新日:

 このころの本牧亭は古い木造だった。ちなみに「巷談 本牧亭」には先代の神田松鯉も登場する。

「前座のころ、個性派俳優として知られた小沢昭一さんが本牧亭にお見えになって話をしたことがあります。伝統芸能を愛した方で寄席がお好きでした。その後、昭和47年に本牧亭は建て替えをして2階建ての立派なビルになったんです。新しくなった本牧亭の看板は遠藤周作先生がお書きになりました。畳40畳、お客さんが150人入る講釈場でね。大き過ぎるとお客さんの表情が見えないんで、ちょうどいい広さでした。私は本牧亭で真打ちになりました」

 戦後、唯一の講談定席を守ってきた本牧亭だったが、残念ながら平成2年に閉場した。

「本牧亭を閉める時、亡くなった清水社長に『いの一番』の下足札をいただきました。私の宝物です。大切に保存しています」

 長らく低迷していた講談界だが、平成の終わりごろから再び活気を取り戻し、松鯉師匠の弟子、神田松之丞(今年6代目伯山襲名)が登場し、令和になってさらに盛り上がっている。

 21~30日まで末広亭夜の部(17~21時)の「赤穂義士伝特集」で松鯉師匠がトリを務める。神田伯山、神田鯉栄、神田阿久鯉ら一門も出演する。

 (構成=浦上優)

【連載】「講談」ブーム再来の舞台裏

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