「鬼滅の刃」興行収入歴代1位は決して想定外ではなかった
宮崎駿監督によるジブリアニメ「千と千尋の神隠し」(01年)は、この20年間日本の映画史上、不動の興収ナンバーワンとして君臨してきた。
この映画が売れたのは作品単独の力というより「風の谷のナウシカ」(84年)のヒット以来、「となりのトトロ」(88年)、「もののけ姫」(97年)など名だたる作品で積み上げてきた“スタジオジブリ&宮崎駿”の圧倒的なブランド力の集大成というべきものだ。だからその数字(約316億8000万円)は、二度と破られることはないと思われてきた。
ところが「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」(20年)が、2カ月少々であっさり抜いてしまった。すでに371億円を突破し、今もランキングトップを争う余力を残している。とんでもないことだ。
だが、日本中が驚いたこの「鬼滅の刃」ムーブメントを、映画・アニメ業界はある程度予測していたと言ったら驚くだろうか。
実は「鬼滅の刃」と「千と千尋」の大ヒットは、同じ理由で説明できる。たとえば一般の人は「千と千尋」のヒットを、先ほどふれたとおり長年の“宮崎駿&ジブリブランド”の浸透によるものと把握しているだろう。それはまったく正しい。