伊東四朗さん6年ぶり座長公演 不世出の芸をご堪能ください
今月26日から始まる伊東四朗生誕!?80+3周年記念公演「みんながらくた」の稽古中である。私は演出と、そして出演もさせていただいている。前回同じく演出した「吉良ですが、なにか?」が77歳のときであるから、実に6年ぶりの座長公演である。
あれから三宅裕司さんとのコント公演はあったものの、お芝居はなく、ああ、もう共演はかなわないのかと半ば諦めていたのだが、私を含めた周囲の熱い期待に応えていただき、このたびの公演となった。
それでも2年前に企画を立ち上げた時は、「この先に自分がどうなっているか全く想像できないから確約はできない」とおっしゃり、「80歳を越えるとね、60代、70代では考えられないことが起こるんだ」と慎重な姿勢であったが、今やまったく年齢を感じさせない元気さで稽古に臨まれている。
もちろん確かに若い頃に比べれば、年相応に感じることはある。しかし、ひとたびエンジンがかかれば、たたずまいや声の張りも10歳以上若やいで、変わらぬ面白さとこちらが思わずうなる演技を見せてくださる。何よりも稽古場におけるたたずまいが格好いい。多くを語らず、後輩や若手に「こうしたほうがいい」などと賢しらに口を挟むこともない。台本に余計なセリフを加えたり変えたりせず、忠実に演じ、それがまた思わず噴き出すほど面白い。ギャグではなく「こんにちは」と言うだけでもなぜか笑わされてしまう。そして自分の稽古が終わったらさささっと机を片付け、さあっと風のようにお帰りになる。まるでひと仕事終えたスナイパー、ゴルゴ13のようなのである。