タモリの融通無碍な会話力の原点 九州の会社員時代に悟る
タモリがもともと、会社員だったことは有名だ。早稲田大学を除籍になった後も、しばらくモダン・ジャズ研究会の司会をしていたが、半ば強制的に地元・福岡に戻され、保険会社で朝日生命の勧誘の仕事をしていた。
その保険がいかに有益かをよどみなく説明していたが、契約書になかなかサインをもらえなかった。そこで成績優秀な先輩の営業に同行すると、保険の内容については全く何も説明しない。しかし、その代わりにただ一言「私に任せて下さい」と言うのだ。
タモリはその時に悟った。理論で保険に入る人はほとんどいない。人間とは「理論で押しまくられると、感情で反発するもの」(潮出版社「加藤登紀子の悪男悪女列伝」85年7月発売)だと。結果、彼は優秀者招待旅行コンクールによく入賞するようになった。