五輪演出には世界が認める芸術家を 国力は文化で測られる
クリエーティブと名が付けば広告代理店に丸投げする政府のあしき習慣が招いたのが、この赤っ恥だ。五輪の制作陣には世界が認めるその国最高の芸術家を配すべきだ。
長野冬季五輪の演出が浅利慶太さん、北京五輪の衣装が石岡瑛子さんだったように、世界が五輪に見るのは、その国の文化レベルなのだ。
先日、小澤さんが創設したクラシック音楽の支援団体の会合に出席した。話題は「クラシック音楽の公演になかなかお金が集まらない」だった。
クラシック音楽は国際標準の文化であり、優れた交響楽団があるかどうかは、その国の文化力を測る物差しになる。欧米諸国が世界にプライドを保てている要因のひとつは、ウィーン、ベルリン、ロンドン、パリ、ロシア、ニューヨークなど、自国にいいオケがあるからだ。
中国や韓国には今、優れた演奏家が多いが、これといったオケはない。米国も世界に認められるオケができたのは戦後だ。日本もしかり。私は趣味で作曲をしているだけで音楽界をどうこうする気はないが、一等国であり続けたいなら、クラシック音楽を保護すべきだと思う。