五輪演出には世界が認める芸術家を 国力は文化で測られる
漫画やアニメやゲームにも優れた作品はあるし、支持する人も多い。だが、それらはあくまでサブカルチャーであり、まだ国際標準の芸術ではなく、ヨーロッパ人の考える文化の本流ではない。リオ五輪の閉会式で安倍前首相がスーパーマリオに扮して登場した。あれも佐々木さんのアイデアで、一国の首相にあそこまでやらせた勇気は評価するが、完全に娯楽と芸術を取り違えている。私たちはあれを恥ずかしいと思うべきだ。
能や歌舞伎は素晴らしい。が、欧米人には伝統芸能でしかない。日本人は芸能と芸術を混同しがちだが、人間が今まで知らなかった新しい価値を見いだし表現するのが芸術であり、先達から継承した芸を磨き高めることを第一とする伝統芸能は、国際標準の芸術にはなり得ない。
中国や日本にも一時は力があったが、経済や文化で世界を制するまでには至らなかった。国の評価を高めるには、欧米諸国と同じ舞台で勝負し、認めさせるしかないのが現状なのだ。
文化は国力の物差しであることを忘れてはならない。