著者のコラム一覧
三枝成彰作曲家

1942年、兵庫県生まれ。東京芸大大学院修了。代表作にオペラ「忠臣蔵」「狂おしき真夏の一日」、NHK大河ドラマ「太平記」「花の乱」、映画「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」「優駿ORACIÓN」など。2020年、文化功労者顕彰を受ける。

五輪演出には世界が認める芸術家を 国力は文化で測られる

公開日: 更新日:

 漫画やアニメやゲームにも優れた作品はあるし、支持する人も多い。だが、それらはあくまでサブカルチャーであり、まだ国際標準の芸術ではなく、ヨーロッパ人の考える文化の本流ではない。リオ五輪の閉会式で安倍前首相がスーパーマリオに扮して登場した。あれも佐々木さんのアイデアで、一国の首相にあそこまでやらせた勇気は評価するが、完全に娯楽と芸術を取り違えている。私たちはあれを恥ずかしいと思うべきだ。

 能や歌舞伎は素晴らしい。が、欧米人には伝統芸能でしかない。日本人は芸能と芸術を混同しがちだが、人間が今まで知らなかった新しい価値を見いだし表現するのが芸術であり、先達から継承した芸を磨き高めることを第一とする伝統芸能は、国際標準の芸術にはなり得ない。

 中国や日本にも一時は力があったが、経済や文化で世界を制するまでには至らなかった。国の評価を高めるには、欧米諸国と同じ舞台で勝負し、認めさせるしかないのが現状なのだ。

 文化は国力の物差しであることを忘れてはならない。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動