五輪演出には世界が認める芸術家を 国力は文化で測られる
国際社会での一流国家の価値は、どれだけ文化を理解し発信しているかで測られる。そのことを日本のリーダーたちが理解していた時代があった。
指揮者の小澤征爾さんは青年時代、経団連の庇護(ひご)を受けた。実力に加え、日本企業数十社の支援のおかげで彼は、欧米の交響楽団を指揮できたのだ。その後、財界は東京五輪も支援して見事な成果を上げ、日本が文化とスポーツに優れた一等国であることを世界に見せつけた。
先日、佐々木宏さんが東京五輪開閉会式全体演出の統括役を辞任した。渡辺直美さんに豚を演じさせるという彼の案には呆れたが、彼の代表作はソフトバンクの“犬のお父さん”のCMである。あれを笑って見ているのは日本人だけで、世界の人から見ればとんでもなく侮蔑的な内容だそうだ。犬と結婚することは自らを人間以下におとしめる意味になるのだという。社長の孫正義さんが心の底で日本人を軽蔑していて、その意味を知りながら制作させたのでは? と思うのは勘繰り過ぎだろうか。
五輪の開閉会式は世界中が注目する、ホスト国の威信をかけた一大プレゼンテーションである。佐々木さんは広告界では有名だが、五輪の演出にふさわしい人物とは思えない。