山口洋子が結婚を考えた大本命は中日ドラゴンズ所属の「F」
この人物については、後年の山口洋子も取り立てて触れていない。おそらく、スポンサーと割り切った付き合いだったのだろう。
次に出会ったのが、“本命”というプロ野球選手だった。「姫」はオープン当初から若い客、とりわけプロ野球選手の顧客が多かった。そう思うと容易に想像しうることである。事実、自伝にはこうある。
《私は気難しい母親のいる男との結婚生活を夢見ていた。男はプロ野球選手で、東の長嶋、西の――と囃された花形エース。うえに姉が3人いるものの、母子家庭で苦労して育った宝物のひとり息子》(「ザ・ラスト・ワルツ『姫』という酒場」文春文庫)