波瑠主演の月9「ナイト・ドクター」は青春群像劇…医療問題とは社会問題である
前半戦が終了した、月9「ナイト・ドクター」(フジテレビ系)。救命医が主人公という意味では、日曜劇場「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(TBS系)と横並びだが、うまく差別化が図られている。
チーム「TOKYO MER」を率いる喜多見幸太(鈴木亮平)は「スーパードクター」であり一種の「ヒーロー」だが、波瑠が演じる朝倉美月は違う。
医師としての腕は同僚の成瀬(田中圭)のほうが明らかに上だし、迷ったり悩んだりする毎日だ。しかし、だからこそ見る側は「救命ドラマ」としてだけでなく、切磋琢磨する若手医師たちの「青春群像ドラマ」として共感することができる。
例えば、第5話。成瀬が患者の命を救うために、違法性のある手術をひとりで行おうとする。だが、美月をはじめ仲間たちは自己責任でサポートに回る。手術が成功した後、成瀬は抱えている医療訴訟の原告に、あらためて謝罪した。難しい手術について、自分の事前説明が足りなかったことに気づいたからだ。
このドラマでは患者や家族だけでなく、医師が抱える葛藤も丁寧に描かれていく。医療問題は、社会問題であることを示しているのだ。この1年半の間、私たちは逼迫する医療現場のリアルを見聞きしてきた。
「いつでも、どんな患者でも絶対受け入れる」という信念の美月を、心配しながらではあるが、応援したくなってくる。