「警察呼ぶよ!」清純派女優に罵倒されるも消えないスクープへの執念
写真誌であれ、週刊誌であれ、張り込み部隊の記者もカメラマンも高齢化している。ほとんどが週払いの給料で契約しているフリーランス。ジャーナリスト専門学校卒だったり、社員編集者を目指した学生が難関の入社試験を突破できず、かといって、他の道に進むこともできなかったり。昨今はお笑い芸人、水商売、芸能プロといった他業種からの転身組も少なくない。カメラマンも元社カメ出身や暗室マン上がりだったりするが、どちらも「半端者」との自覚とともに、いつかここから抜け出すと思いながら、いつの間にか長く居着いてしまったというパターンである。だが、そんな境遇だからこその執念もある。
「もう、どっか行ったかな」
カメラマンが言うと、
「そうですね。戻りましょうか」と記者は応え、ハンドルを切った。
今回の現場であるタワマン前には、競合他誌の車もあった。彼らがだれを狙っているのかは分からないが、負けるわけにいかない。ようやく割り出したベテラン女優がいつ、どの出入り口から出てきても逃さないよう、車3台に分かれての張り込みを続けるだけだ。高級住宅街の豪邸前はやはり監視カメラもあって長時間の張り込みが難しく、ちょっと離れた交差点で別の隊が頑張っている。動きがあればそっちに駆り出されるだろうが、今は待機だ。