<37>「結婚おめでとう」に無言だった早貴被告、テレビのカメラマンに舌打ち
入籍の翌朝、早貴被告は東京に帰る予定になっていて、家政婦の大下さん(仮名)と2人でアプリコまで歩いてきた。野崎幸助さんの自宅からは、ゆっくり歩いても3分ほどである。その駐車場で早朝にドン・ファンが乗ってきた自家用車アリオンを拾って、大下さんの運転で南紀白浜空港に向かうことになっていた。
ちょうどそのとき、アプリコの前の道路では東京から来たテレビのカメラマン2人が撮影を開始していた。1人は私の顔なじみのスーさんで、何度も社長を取材していたので気心は通じている。
「社長の仕事ぶりを撮影してから愛人との撮影をしたいんですが」
彼らとは前夜に打ち合わせをしていたが、困ったのは突然の入籍だった。しかし、ドン・ファンは、事前に約束をしていたので、この日の愛人との撮影に支障はないと断言していた。
■テレビカメラに顔を隠す
「おはよう。入籍したんだって? おめでとう」
早貴被告に声を掛けた。体にフィットするジーンズにピンヒール、そして大きなサングラスをかけていた。彼女はテレビカメラにギョッとしたようで、何も答えずに車に乗り込み、すぐに顔を手で隠した。カメラマンが回り込んでなおも撮影をしようとすると、「チッ」と舌打ちしながら、なおも顔を隠し続けた。