沢村忠の華々しい経歴に女性ファンも熱狂、ついに山口洋子の作詞で歌手デビュー
キックボクシングの人気が上昇し、エースである沢村忠の露出が増えると、マスコミはこの新しいカルチャースターの“周辺情報”を洗い始めた。「生年月日は?」「出身は?」「経歴は?」「好物は?」「趣味は?」「好きな女性のタイプは?」――月並みな設問の中で前歴が注目されるのは必然だったのかもしれない。
「月刊明星」(1969年1月号)は「キック☆ボクシング沢村選手のビックリ25年!むかしタレントいまボクサー」と題した見開き2ページ、イラスト付きの特集記事を組んだ。
《中3の時、新東宝映画養成所の試験にパス。芸名を城哲也と言った。あこがれの映画スターの一歩をふみだしたが、あたえられるのは悪役ばかりだった。(中略)その後、テレビ映画「人間の條件」に出演したりしたが、高校卒業と同時にやめ、昭和36年4月、日大芸術学部映画学科に入学、シナリオを専攻する。在学中にオリジナル・シナリオ6作をものにするという文才を発揮!「いつか、この作品を実現させたい」と、いまも考えている》
「高一時代」(1969年1月号)では直木賞作家の寺内大吉が「英雄誕生 必殺! 真空飛びひざげりの沢村忠」という読み切り小説の中で、そのことに触れている。