著者のコラム一覧
吉田隆記者、ジャーナリスト

1984年に写真週刊誌「FRIDAY」の創刊準備メンバーとして専属記者契約を結ぶ。87年の大韓航空機爆破事件では、犯人の金賢姫たちが隠れていたブダペストのアジトを特定、世界的に話題となる。初代「張り込み班チーフ」として、みのもんたや落合博満の不倫現場、市川染五郎(現・松本幸四郎)や石原慎太郎の隠し子、小渕恵三首相のドコモ株疑惑などジャンルを問わずスクープ記者として活躍。

<73>野崎幸助さんの不自然な死 不審な点があり解剖された遺体

公開日: 更新日:

 マコやんがフォローをした。

「アプリコは赤字で、オレのポケットマネーで赤字を埋めてやっているんだから、いつでもやめていいんだ」

 常日頃ドン・ファンはそのように言っていたが、かなりのウソがまじっていることはうすうす分かっていた。利にさとい彼が赤字会社を運営することなどあり得ず、貸金業も国に利率を下げられた瞬間にやめてしまったのだから、機を見るに敏な彼が慈善事業をするワケがないのだ。

 早貴被告はそのようなことを理解している様子もなく、ただただコックリとうなずいているだけだった。

あのな、これは事件だからキミたちは疑われるかもしれないよ」

 死後硬直の謎をしゃべり早貴被告と大下さんに宣言すると、2人はギョッとした表情を浮かべた。

「お久しぶりです」

 夕方4時からは自宅に葬儀屋さんがやってきて打ち合わせがあるので、その前にアプリコに行くとドン・ファンの知人で弁護士事務所の事務員をしている60代後半のMが来ていた。1カ月前の4月13日、ドン・ファンの喜寿の誕生日に六本木のホテルで会って以来である。

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